コンニチハ!
車大好きマイケルです!
突然ですが、皆さんは「EJ20エンジン」をご存じでしょうか?
EJ20とは、スバル(現:SUBARU/旧:富士重工業)を代表する水平対向4気筒のガソリンエンジンの通称型式で、国内外を含めても稀有な「水平対向型エンジン」です。
また、その中でも最も普及した量産モデルがEJ20といえます。
しかし、1989年の登場から約30年の長期に渡り圧倒的な性能と信頼性で高い支持を受け多くの車種に搭載されてきた「EJ20エンジン」ですが、ついに2019年に生産終了(予定)を迎えました。
スバル車を長年乗り続けてきたユーザーであれば、一重に感慨深い気持ちで一杯でしょう。
というわけで、今回はそんなEJ20エンジンの歴史も振り返りながらマニアックに熱く語りたいと思います!
EJ20は進化し続けるエンジンでした!
1989年に鮮烈にデビューを果たしたEJ20は、スバルから公式に2019年内での生産終了が発表されスバル車のファン達を驚かせました。
既に後継モデルとしてFA/FB型エンジンも普及し、2019年現在では高性能スポーツモデルの「WRX STI」VAB型にのみEJ20は搭載されています。
参考元:スバル
最終形態ともなった現行型の「WRX STI」(インプレッサ系統の高性能モデル)であるVAB型に搭載されるEJ20では308PS/6,400rpm、43.0kg-m/4,400rpmという高性能を現実のものとしてスペック、フィーリング共に熟成を極めました。
EJ20というのは実質的な総称となっていて、そのバリエーションは「EJ型エンジン」としては極めて多岐に渡ります。
派生エンジンとして排気量違いのEJ15/EJ16/EJ18/EJ22/EJ25だけでなく、同じEJ20でも各世代においてEJ20K/EJ20G/EJ207/EJ20Yなど様々なサフィックス(接尾辞)が付与され小変更から大変更まで様々なモデルを持ちます。
EJ20エンジンの歴史!誕生の経緯を振り替える
EJ20型エンジンは1989年に登場した初代レガシィ(BC/BF型)にはじめて搭載され、完全新設計の次世代エンジンとして「まさに新時代の幕開け」を印象づけるものでした。
この初代レガシィは当時、富士重工業の中でも時代の変化に応じた高性能乗用車として、極めて刷新的に開発された名車です。
従来型のレオーネとは次元の異なる「高速性能」や「操縦安定性」を実現することは、競合他社の性能向上も踏まえて絶対条件とされ、これまでの旧型エンジンを継続使用することは不可能と判断されました。
参照元:スバル1000
というのも当時主力として搭載されていた「EA型」水平対向4気筒エンジンの登場は、はるか昔の1966年にまでさかのぼります。
国産初のFF(フロントエンジン・フロントドライブ/いわゆる前輪駆動車)として登場した「スバル1000」から搭載された「EA型」エンジンは、元々OHVと呼ばれる古典的なシリンダーヘッドを搭載しており、燃料噴射に関してもキャブレター式の時代です。
初代レガシィ開発の段階においては、すでにツインカム(DOHC)や電子制御燃料噴射(インジェクション)も普及している状況であり、時代遅れのエンジンと言わざるを得ない状況でした。
「EA型」も後にシリンダーヘッドがSOHC化されますが、高出力化や高性能化には強度や耐久性も含めた基本設計としての限界があったということになります。
そもそも800cc程度の排気量設計からかなり無理をして1800ccまで排気量を拡大してきた経歴の「EA型」は、誕生当時としては設計に余裕を見た革新的なオールアルミエンジンでした。
ゼロからのエンジン開発!?
富士重工業の社運を賭けた新型車のために新エンジンの開発は必須となり、初代レガシィ登場の6年前となる1983年に新エンジン「EJ型」の開発プロジェクトがスタートしました。
この時のプロジェクトを主導したキーパーソンには、富士重工業のワークス・スポーツブランド部門とも言えるスバルテクニカインターナショナル(STI)の後の社長となる2人が携わっていました。
山田剛正氏が一連の開発プロジェクト全体の指揮を執り、工藤一郎氏が新エンジンの設計を手がけ取りまとめました。
今となってはスバルの魂とも言える「水平対向/ボクサーエンジン」ですが、まさにその名機ともなる「EJ20」の開発段階においては、水平対向エンジンであることが設計要求事項ではなかったということが言えます。
これはエンジン設計の根底から見直すことを意味しており、それほどまでに新エンジンを先進的なものとして設計しようという意欲の表れでもありました。
富士重工業の未来をかけら重要プロジェクト!
しかし結果的には、それまでの「EA型」で実証された高い信頼性や耐久性という要素だけではなく、必要な設計上の要求や制約をひとつひとつ丁寧に検証した上で、直列やV型エンジンではなく水平対向エンジンがベストの選択という結論に至りました。
またコスト高になる要因も性能重視で開発が進められ、「EA型」と同様にオールアルミエンジンとして設計が進められました。
自動車メーカーはエンジンの新規開発に関しては車のモデルチェンジに比べると、かなり長い周期で行っています。
初代レガシィ発売前の富士重工業は決して順風満帆な経営状況ではありませんでした。
しかし、この初代レガシィこそが、そして新型のEJ20エンジンこそが企業として再出発を決定づける、極めて重要な本丸のプロジェクトだったのです。
ちなみに水平対向エンジンとは?
一般的なエンジンはシリンダーが直線状に並んだ直列エンジンやそれを左右に分割して組み合わせたV型エンジンなどが一般的です。
一方で、水平対向エンジンというのは、エンジンのピストンが往復するシリンダーが水平になっており、左右2気筒ずつが向かい合うような形状となっています。
参考元:スバル
また、コンロッドのクランクシャフト側大径部のピンは共用しないため、正確には左右のバンクは完全な対称位置ではなく、左バンク側が半気筒分ほど後ろに下がっていることも特徴です。
空いた左前のスペースにウォーターポンプを、右後ろのスペースにはターボ車の場合にはターボチャージャーのための配管がレイアウトされるように効率よくコンパクトに設計され、低重心かつ完全にバランスが取れた理想的なレイアウトになっています。
ボクサーエンジンやフラットエンジン、ホリゾンタル(水平)エンジンとも呼ばれます。
過去には世界的にも日本国内においても多数のメーカーが水平対向エンジンを製造し車両に搭載していました。
ですが、今日においてはスバル(OEM車:トヨタ86も含む)、ポルシェとBMWのRシリーズのバイク、ホンダの大型バイク「ゴールドウイング」など一部が残るのみとなっています。
新設計の結晶として生まれた「EJ20エンジン」
「EJ20」は従来の「EA型」からメカニカルな面においても完全に新設計となっています。
左右に分かれる水平対向エンジン独特のエンジンブロックを結合するボルトの本数は5本に増やされ、高負荷が発生するクランクシャフトの支持ベアリングは3点から通常の直列エンジンと同様の5点に増やされました。
これによって全長が50mm伸びてしまいましたが、高性能化の要の部分でしたので採用され今日においてもハイパワーに耐えうるエンジンブロック剛性を確保しています。
そして「EJ20」は、燃焼室形状も大幅に変更しています。
従来のバスタブ型と呼ばれるまさにバスタブ形状をした窪みに吸気バルブと排気バルブが一つずつ横並びになったレイアウトではなく、より高速度の燃焼と効率を実現させる現代的なペントルーフ型クロスフロー方式という形状に変更されました。
エンジン設計はセオリーがあり様々な諸条件の中で各種寸法や仕様が決定されますが、このような形で細部まで従来型とは異なる設計変更がなされています。
こだわり抜いた設計が、その後30年に渡るモデルライフと進化の礎となりました。
救世主となるEJ20エンジン!衝撃的なデビューを飾る
1989年に登場した初代レガシィに搭載されて「EJ20」は登場しました。
この頃の富士重工業は明確な経営難に直面しており、存続が危ぶまれる事態となっていましたが、この初代レガシィの登場がまさに富士重工業の救世主となります。
遂に完成したEJ20エンジンだけではなく、シャシーも完全新設計され、エクステリアやインテリアデザインも非常に先進的でスタイリッシュなものでした。
それは決して「普通のクルマ」では無かったと言えます。
ターボモデルの「RS」には水冷式インタークーラーを組み合わせたシングルターボエンジンが搭載され、当時としてはクラス最高出力の220PSを発揮していました。
新時代を感じさせる高性能エンジンと流麗かつ端正なスタイリングはレガシィの人気を高めるだけではなく、富士重工業のブランド力、技術力においても高い評価をもたらしました。
まさに新生エンジンであるEJ20と共に富士重工業は経営面においても鮮烈な再スタートを切ったと言えます。
レガシィ10万キロ世界速度記録の達成!
鮮烈にデビューした初代レガシィはその高性能を決定的にする大記録をアメリカ・アリゾナ州のアリゾナテストセンター(ATC)で誕生させました。
発売前の1988年末に赤、白、黄の塗装を纏ったプロトタイプのレガシィ3台が秘密裏に成田空港から空輸されました。
そして連続高速走行速度記録として、アクセル全開のまま高速度を維持して10万km走り続けるという前代未聞の過酷なチャレンジが行われたのです。
1989年1月2日にスタートして給油や必要整備等を除き昼夜を問わず走行し続け、19日後の1月21日に記録を達成しました。
圧倒的な耐久性と高性能を誇るべく、走行した全車3台が完走しています。
うち1台(白の2号車)は10万kmを447時間44分09秒887で走破し、平均速度は従来の記録を10km/h以上も上回る223.345km/hに達しました。
つまり、必要最低限の事情により停止することはありますが、平均速度約223km/hで19日間アクセルを踏み続けて10万km/hを走破する性能を実証したということです。
そして富士重工内外にその新エンジン「EJ20」の強靭さを誇示したのです。
その後2005年まで記録は破られずに歴史的な記録を保持し続けました。
EJ20エンジンの搭載車種はスバル全車に近いレベル!
スバルを代表するEJ20は多くの車に搭載されました。
軽自動車やOEM車、特殊な車両を除いていわゆる普通乗用車にあたるすべてのスバル車にこの「EJ型」エンジンが搭載されているレベルでした。
そのため初代レガシィから搭載されたEJ20はその後も歴代レガシィに搭載されるだけでなく、よりコンパクトで世界ラリー選手権(WRC)などのモータースポーツにおいても輝かしい成績を収めた「インプレッサ」にも搭載されます。
そして、結果的に最後までこの高性能マシンにEJ20は搭載され続けることになりました。
EJ20に代わる後継エンジンも登場
EJ20の登場から約20年が経過し、自動車における要求性能は「環境性能」や「燃費性能」と比重が大きくなってきました。
2010年に富士重工業の新たな基幹エンジンとなるべく「FB型」エンジンが登場します。
FB20/FB16の2機種がラインナップされスポーツモデルではない実用モデルに次々と搭載されていきました。
更にスポーツユニットのベーシックモデルとして「FA型」エンジンが登場しました。
軽量な水平対向ユニットとして気持ちの良い特性を実現しており、FB型ユニットをベースに根本的な設計変更を加えられボア×ストローク比も改めて変更され「86×86のスクエアストローク化」によって高回転型ユニットとしての新たな素性を獲得しています。
その後は直噴ターボ(DIT)モデルを派生させ水平対向4気筒ターボエンジンの時期型として再びレガシィなどのスポーツモデルに投入されています。
おわりに
今回は「EJ20エンジン」についてお伝えしてきました。
今まで約30年間ファンを魅了し続けてきたEJ20エンジンですが、その陰には歴史がありました。
だからこそ数多くのスバル車に搭載されてきたわけですが、ついに30年でその歴史に幕を閉じる時が来たわけですね。
とはいえ、新たな生産は打ち切られる言っても、今もEJ20エンジンは走り続けていきます。
これから街中でレガシィやインプレッサを見かけたら、ぜひEJ20エンジンのことを思い返して下さい。
以上「EJ20エンジンに歴史あり!生産終了を迎えて30年を振り返ってみた」でした。
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