こんにちは!
販売スタッフの田中です!
皆さんは車を購入する時に色々な機能って気になりませんか?
今回は「横滑り防止装置(ESC)」ですが、最近の車だと軽自動車にも備わっている装備です。
なんとなく名称から「横滑りしないための装置なんだな」と分かりますが、でも具体的にどういった役割でどういった時に作動するのか?また壊れた場合はどうなるのか?
新車を購入するお客様でも分かって購入する方は正直多くはありません。
車も安い買い物では無いないですし、せっかくですから備わっている装置のことを知っておいた方が何かあった時にも安心です。
というわけで、今回は「横滑り防止装置(ESC)」について詳しく解説していきましょう!
横滑り防止装置(ESC)とは一体何なの?
まず「横滑り防止装置(以下ESC/エレクトロニック・スタビリティ・コントロールシステム)」とは、一般的な乗用車にも採用されている
- ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)
- TCS(トラクション・コントロール・システム)
に並ぶ「自動車用の予防安全装置のひとつ」で、ABSやTCSは1990年代ころから主要な車で標準で装備され出しましたが、ESCはそれらよりも新しい安全装置です。
横滑り防止装置(ESC)の役割とは?
ESCは、自動車がカーブを曲がる時や車線変更を行う時などに「車両の姿勢を安定させる」役割を持ちます。
雨や雪などで突然路面状況が変化した場合や、突然の飛び出しや割込みなどで急なステアリング操作を行った際に車両の不安定な挙動をいち早く認識し、エンジン出力を抑えたりブレーキ制御を4輪独立して行い最後まで車両がスピンしたりスリップすることを抑制します。
ちなみにメーカーによりシステムの名称は様々です
ESCは横滑り防止装置の一般的な呼称ですが、自動車メーカーにより下記の様な呼称で使われています。
というか自動車の装置は各メーカーで呼び方が異なることは珍しくないのですが、ESCの場合はとくに分かりにくいです。
- トヨタ・・・VSC(Vehicle Stability Control)
- 日産/スバル・・・VDC (Vehicle Dynamics Control)
- ホンダ・・・VSA (Vehicle Stability Assist)
- マツダ・・・DSC (Dynamic Stability Control)
- スズキ・・・ESP(Electronic Stability Program)
- ダイハツ・・・DVS(Daihatsu Vehicle Stability control)
など
横滑り防止装置(ESC)の仕組みについて
ESCは、ブレーキを制御する役割の「ABS」とエンジン(アクセル)を制御する役割の「TRC」を、まとめて制御する監督役の様な装置です。
厳密にはESCは「旋回(コーナリング)」分野における安全装置であり、ステアリングの舵角や車両のヨーレートセンサーなどの情報を基にこれらをコントロールします。
「ヨーレート」という言葉はあまり使われないため難しいと思いますが、簡単な理解としては車が曲がる際や、スピンするような重心位置の回転軸に対する角速度を表しており、大きなヨーレートが発生した時にタイヤのグリップが不足していると車は耐えきれずに不安定になり、横滑りを起こしたりスピンを起こしたりして事故につながります。
そこでESCは車が不安定になる兆候をいち早く情報収集すると共に、4輪の回転速度やステアリングの舵角などの情報の整合性を常に監視し続けることで、路面とタイヤがしっかりとグリップして安定して走行しているかを把握しています。
もしこれらのセンサーからの情報を基に危険な挙動を示す恐れがある場合や、すでにスリップが始まっている場合には最も適切な挙動となるようにプログラム通りにエンジン出力を落とし、一部のタイヤのブレーキを独立して適切にコントロールすることで車両を強制的に安定させ事故を未然に防止します。
横滑り防止装置(ESC)が作動する具体例
例えば、滑りやすい雨の日に急な左カーブにオーバースピードで進入したことで「曲がり切れないような状況」では、外側のガードレールに衝突するほどではないけど対向車線にははみ出してしまう恐れがあります。
専門用語では「アンダーステア」と呼ばれる状態ですが、対向車が来ればあわや正面衝突の大事故に繋がり危険です。
このような時にESCは瞬時に危険を察知すると共に「エンジン出力を抑えそれ以上加速することを防止」して、フロント側に荷重移動を促します。
さらに、それと同時に「内側(左側)の後輪にのみブレーキ」をかけることで左の後輪を引きずるような状態になり、車はよりカーブの内側方向へ向かおうとすることでアンダーステアが軽減されます。
万一この時に内側に巻き込むようにスピン状態になりそうになった場合(オーバーステア)には「外側(右側)の前輪にのみブレーキ」をかけることで、逆に車を曲がりにくくしてスピンを抑制します。
ちなみに雪道の時でもESCは効果を発揮するの?
ESCはとても滑りやすい雪道においても効果を発揮するのかというと、答えはYESです。
しかし、逆にESCがあることで気を付けたい(知っておきたい)ポイントもあります。
まず雪道で会っても、先ほど例を挙げたように「アンダーステア(オーバーステア)」また極端にスピンしてしまいそうな場合において、ESCによる統合制御は非常に安心感があります。
しかし、雪上(氷上)での停止状態から発進する際には注意がです。
しかしESCは、エンジンの出力を抑えトラクションをコントロールする(TRC)ことでスムースにタイヤのグリップを使いながら発進することができます。
つまり「タイヤの空転を検知→ESC作動によりタイヤの回転が落ちる→雪道の場合は逆に失速」となり発進できなくなる場合があるからです。
こういった場合は「ESCのキャンセルスイッチを押す」ことで、一時的にESCを停止させて強引に加速出来る状態をつくることが出来ます。
一般的には「運転席のダッシュボード・インパネ周辺やセンターコンソール・シフトレバー付近」に専用のキャンセルスイッチが設けられています。
キャンセルスイッチを押すと、多くの場合はメーター内に「ESC OFF」などの警告灯が点灯します。
ESC装備の車でスタックしてしまった場合などには有効な手段なので覚えておいてください。
横滑り防止装置(ESC)が壊れるとどうなる?
ESCは様々な部品が組み合わされている「システム」ですから、やはり故障することもあります。
ただ、前提としてはESCそのものが予防安全の重要なシステムであることから「自動車の部品の中では特に信頼性の高い部品で構成されている」ため故障する可能性はとても低いです。
また、ヨーレートセンサーやGセンサー、ESCコントローラーなどの各種部品が故障したからといって、すぐに運転に支障が出ることはありません。
どの部品も外観で壊れていると判断できるものは少ないので、故障診断するためには専用の診断機や各種テスター、オシロスコープなどの電気信号の波形を見るツールが必要となります。
ちなみに修理費はいくらくらい?
もしESCが故障した場合に気になるのは修理費だと思います。
ですが、ESCの修理は車種や故障部位により修理費が大幅に異なります。
関連部品はエンジン内部などでは無いため、部品交換の作業自体は比較的簡単なものがほとんどです。
しかし、部品の価格にはかなり開きがあります。
比較的安価に修理可能なものはスピードセンサーなどの共用性の高いセンサー故障や電源線などの断線などで、安価なセンサーであれば数千円程度とプラス交換工賃が1万円程度です。
次にCAN通信線などの特殊な配線の断線やコネクターの不良や融解によるトラブルの場合は、ハーネスASSY(一式)での交換となり、部分的なハーネスでは無い場合には5~10万円程の部品代になります。
さらに高額な修理になるケースとしては「ABSユニット」や「ESCコンピューター本体の電気的な故障」です。
これらは非分解であることがほとんどなので、故障した場合には新品交換となります。
ABSユニット(油圧コントロール部一体型)の場合には、国産車で15~20万円。
ESCコンピューターも車種により大幅に価格が異なりますが、こちらも一般的には5~25万円程度となります。
ESCが故障した場合「警告灯の点灯」や「何らかの違和感」があるはずです。
修理費は故障箇所によって幅がありますが、可能性としては「ブレーキ関連の重大なトラブル」も考えられます。
ESCの修理に関しては専用の機材も必要であることから、速やかにディーラーに連絡をして指示を仰いでくださいね。
おわりに
今回は「横滑り防止装置(ESC)について」お伝えしてきました。
ESCを一言でまとめると「スリップなどの緊急時にブレーキとエンジン出力をコントロールして車の制動を安定させる装置」でした。
じつは私も免許取り立ての頃に「山道(下り坂)で思いのほかスピードが出てスリップして壁に激突した」経験があります。
激突した車にはESCは装備されていなかったのですが、もしESCが付いていたら廃車にせずに済んだかもしれません。
というか、一番は「慢心が事故の元」ですけどね。
ちなみにそんな慢心とは違いますが、なかには「ESCなんていらない」という意見もよく聞きます。
実際にその点どうなか色々書いた記事があるので、そちらも是非合わせてご覧下さい!
横滑り防止装置がいらない?義務化は私たちにとってデメリットなのか
以上「横滑り防止装置(ESC)とは?役割や作動条件など詳しく解説するよ!」でした。
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