こんにちは!
現役自動車整備士のまいこです。
最近「まいこさん、車のことで相談に乗ってください!」というお問い合わせを頂くことが増えてきました。
こういったお問い合わせを頂くと「ブログ読んでもらって嬉しいな♪」と思うのと、もっと記事を書いてアクセスアップを狙いたいなと「計算高いブラックまいこ」がチラリと顔を覗かせます(笑)
そんな冗談?はさておいて、先日頂いた相談は「エンジンオイルの粘度」についてです。
お問い合わせ頂いた方はご自身でエンジンオイルを交換されているそうなので、きっと車が大好きなんでしょうね。
ですが、いざエンジンオイルを買おうと思うと「0W-20」や「SN」などの数字や記号、それに「全化学合成油」などの専門用語も出てきます。
今回頂いたご質問は「オイルの粘度」についてでしたが、「エンジンオイルを選ぶ」となると合わせて知っておいて欲しいこともあります。
というわけで、今回はオイルの粘度と合わせて「エンジンオイルを選ぶときに知っておきたい重要なポイント」について詳しく解説していきましょう!
エンジンオイルの「粘度」って何なの?
まず、車に合ったエンジンオイルを選ぶ際に、知っておかなければいけないのが「粘度」です。
エンジンオイルには下記画像のように「0W-20」や「5W-30」というような表示がされています。
この数値が表しているものが「粘度」なのですが、言葉からイメージができるとおり「エンジンオイルの粘っこさを表す度合い」のことです。
そして、左側の「W」が付いている数字の方が「低温粘度」を表し、右側が「高温粘度」を表します。
でもその説明の前に、もう少し「粘度」について解説させてい下さいね。
エンジンオイルの粘度が重要な理由
ここはエンジンオイルの粘度を理解する上で大事なポイントですので集中して読んでくださいね。
まず、エンジンオイルは油膜を貼ることで「エンジン内部の金属がスムーズに動くようにサポートする」という重要な役目」があります。
このエンジン内部がスムーズに動くためには、エンジンオイルが必要以上に粘り強くてもダメですし、逆にサラサラしすぎても金属の保護になりません。
いい感じの「粘度」を保つことが、良いエンジンオイルということになります。
しかし、その粘度は「温度」によって状態が変わるんです。
上手い例えか自信がありませんが「バター」を想像してみて下さい。
バターは冷えている状態では「固形」でも、温かくなると「液体」に変わりますよね。
もちろんエンジンオイルは外気で冷えても固まることはありませんが、それでも温度によって影響を受けます。
温度が低いと滑らかに動きにくいので余計な力が必要になりますし、温度が上昇してサラサラになりすぎるとエンジン内部の金属がぶつかり合う可能性が出てきます。
つまりエンジンオイルというのは、
- 温度が低い時…「サラサラ」していて欲しい
- 温度が高い時…「ネバネバ」していて欲しい
わけで、じゃあ「どの温度で、どれくらいの性能が見込めるの?」という目安が、先ほどの「低温粘度」「高温粘度」になるのです。
低温粘度とは?
低温粘度は「どの程度の外気温で使用できるのか?」がわかります。
「0Wであれば外気温が-35℃でも大丈夫」というように数値で判断できるのが以下の表です。
外気温(℃) | -35 | -30 | -25 | -20 | -15 | -10 |
粘度分類(低温) | 0W | 5W | 10W | 15W | 20W | 25W |
ちなみに、数字の後ろの「W」はWinter(冬)を表しています
数字が小さいほど軟らかいオイルで、温度が低くてもサラサラしており始動がスムーズなオイルといえます。
高温粘度とは
低温粘度が「冬の外気温の目安」なので、高温粘度は「夏の外気温の目安」と思っている方がみえますが、それは間違いです。
高温粘度は、エンジンオイルの温度が上昇しても「どれくらい油膜が切れにくいか?」を示す数値です。
エンジンオイルの温度は100℃にもなるので、いくら夏が暑くても高温時の粘度には影響しません。
以下はオイルの粘度を100℃で測定した数値です。
粘度分類(高温) | 20 | 30 | 40 | 50 | 60 |
動粘度(100℃) | 5.6~9.3 | 9.3~12.5 | 12.5~16.3 | 16.3~21.9 | 21.9~26.1 |
動粘度の数値が高いほど油膜が切れにくいオイルということになります。
そのためターボ車や高回転運転をする方におすすめです。
粘度分類
エンジンオイルの数値ですが、これは「SAE粘度番号」と呼ばれます。
SAEとは「Society of Automotive Engineers/米国自動車技術者協会」のことで、SAEが定めた粘度分類は以下の11段階に分けられます。
低温粘度 | 0W | 5W | 10W | 15W | 20W | 25W |
高温粘度 | 20 | 30 | 40 | 50 | 60 |
最近ではほとんど見かけませんが「SAE20」と1つの数字で表されているオイルは「シングルグレードオイル」と呼ばれ、使用可能な温度の範囲は狭くなります。
「0W-20」のように使用可能温度の幅が広い最近のオイルは「マルチグレードオイル」と呼ばれます。
結論!オイルの粘度はどうやって選べばいいの?
では、一体どうやってオイルの粘度を選べばよいのかというと、一番間違いないのは「メーカーが推奨するオイル粘度」を選ぶことです。
オイルの粘度や後述する規格については「車両取扱説明書」などに記されています。
また車両取扱説明書を紛失した場合は、車検証の「型式」からネットで検索すると「オイル適合表」がヒットするのでそちらを参考にするとよいですよ。
自分で選んでオイル粘度を変えてみたい!
それでも車好きな人でしたら「季節や状況に応じてオイル粘度を変えてみたい」という方もみえると思います。
その場合は、以下のことを念頭に入れておいてください。
- 燃費性能向上を意識したハイブリッド車や現行車は「低温粘度0W-5W」「高温粘度20-30」が推奨されています
- 低温粘度10W以上は、大型排気量の車に推奨されています。
- 高温粘度40以上は、スポーツカーなどエンジンを高回転使用する車に推奨されています。
- 経年使用車はエンジン内部に隙間が出来てくるので粘度を少し上げるのはOKです。
まとめると「オイル粘度」は新車時はメーカーのオイル適合表などを確認して同じものを選び、走行距離が増えてエンジンの振動など気になるようであれば高粘度オイルに替えるのよいです。
ですが「0W-20などの低燃費オイルの車に高粘度オイルを入れる」と、それだけエンジンに負荷がかかるので燃費の悪化は考えられます。
また「車の為に良いエンジンオイルを使いたい」ということであれば、粘度だけではなく「規格」なども知っておいた方がよいでしょう。
エンジンオイルのグレードを表す「規格」とは?
エンジンオイルを選ぶときに粘度と合わせて確認したいのが「規格」です。
規格では「API規格」がよく使われていますが、もう1つ知っておきたい規格として、日米の自動車工業会が制定している「ILSAC規格」があります。
「API規格」と「ILSAC規格」
まずは「API規格」についてですが、こちらは以下の3つの協会が定めております。
- API…米国石油協会
- SAE…米国自動車技術者協会
- ASTM…米国材料試験協会
「API規格」では、ガソリン車用のエンジンオイルは頭文字に「S」が入り、ディーセル車用のエンジンオイルは頭文字に「C」が入ります。
そして「API規格」に省燃費性能を加えたものが「ILSAC規格」になります。
API規格(ガソリン) | API規格(ディーゼル) | ILSAC規格 |
SA | CA | |
SB | CB | |
SC | CC | |
SD | CD | |
SE | CE | |
SF | CF | |
SG | CF-4 | |
SH | GF-1 | |
SJ | GF-2 | |
SL | GF-3 | |
SM | GF-4 | |
SN | GF-5 |
上記の表では下に行くほど性能が高く「API規格」でガソリン車のエンジンオイルでは、現在の最高グレードは「SN」になります。
「ILSAC規格」は、GF-1はAPI規格のSHと同グレードという形です。
オイルの規格はグレードが高くなるほど、以下のようなにエンジンオイルの性能が向上します。
- 耐熱、耐摩耗、耐久性能
- スラッジ(エンジン内部にホコリがたまる)防止
- サビ・腐食を防止する性能
- オイルの劣化防止性能
- 燃費性能
- 排出ガスの浄化・削減
これらの性能向上は一部ですが「車に良いエンジンオイルを入れたい」ということであればグレードの高いエンジンオイルを選ぶのが良いですね。
こちらもエンジンオイルのパッケージを見ると記載されていますので、何をどう選べばよいのか覚えておくと安心ですよ。
エンジンオイルの「成分」について
エンジンオイルを選ぶときは「粘度」「規格」を確認することが最優先ですが、合わせてチェックしたいのは「成分」です。
エンジンオイルのパッケージを見ると「鉱物油」「半化学合成油」「全化学合成油」などの記載があります。(3種類ですが表記の仕方が微妙に違う場合あります)
これらは「ベースオイル(基油)」と呼ばれ、エンジンオイルの基となるオイルになります。(ベースオイルの添加剤を入れてエンジンオイルは調合されます)
それぞれ特徴があるのでみていきましょう!
鉱物油
天然オイルから精製しただけのベースオイルです。
一般的に普及されており値段も安いのが特徴です。
自分でエンジンオイルを交換する方だと「値段が安い分頻繁にオイル交換が出来る」ことから、鉱物油を狙って購入される方もみえます。
部分化学合成油
鉱物油に化学合成油あるいは水素化精製油を混合したベースオイルです。
鉱物油よりも性能は高いですが、次の全化学合成油よりは落ちます。
鉱物油と全化学合成油の間のオイルとなります。
全化学合成油
3つの成分の中で最も良質なベースオイル。
高温でも温度や油圧の変化が少なく、あらゆる状況で高い性能を発揮するの、サーキットを走ったり、エンジン出力の大きい高性能車向けです。
しかし、その分値段も高く鉱物油の2倍くらいはします。
カー用品店に行くとエンジンオイルも種類がたくさんあって目移りしますが「粘度」と「規格」については車に合ったモノを選ぶことが大事です。
「0W-20の低燃費オイルは高いからな…」と思っても、そこは車に適したオイルを選びたいところ。
でもベースオイルに関しては「高いけど性能が良いのは全化学合成油だからコレにしておこうかな…」ではなく、日常的に車を使用するのであれば ”お値打ちな鉱物油でもOK” と私は思っています。
少し乱暴な説明かもしれませんが「高価な全化学合成油を長期間使用するなら安価な鉱物油を頻繁に交換した方が良い」ということですね。
また勘違いして欲しくないのは、鉱物油だからといって寿命が短いわけではありません。
今は鉱物油でも添加剤を入れて「1年1万km交換でも十分な性能保持ができる」オイルもたくさんあります。
新品の綺麗なオイルを常時入れてエンジンに悪いことはありませんから、車のためにエンジンオイルにこだわるということであれば「エンジンオイルの交換サイクルを早めた方が良い」でしょう。
まとめ
今回は「エンジンオイルの粘度や規格などの見方・選び方」について解説してきました。
ポイントとしては、以下のことが挙げられます。
- エンジンオイルの「粘度」はメーカー推奨のものを選ぶと間違いない!
- 「高回転使用」「経年使用車」なら高粘度に変更もあり!?
- 良いエンジンオイルを選びたいなら規格の高いグレードがおすすめ!
- 日常使用であればオイル成分(ベースオイル)は鉱物油でもOK
また高粘度オイルが推奨されるスポーツカーに低粘度オイルを入れるのだけは基本的にNGです。
高温時のエンジン内部を守ることを目的に高粘度オイルを入れているのに、低粘度のサラサラしたオイルに替えてしまってはエンジン内部の保護が出来ない恐れがありますから、その点だけは注意してくださいね。
今回の話はいかがでしたか?
カー用品店にはたくさんの種類のエンジンオイルが置かれていますが「粘度」「規格」「成分」の3つを抑えることで迷わないで済むと思います。
また、なんだかよくわからない場合は「車両取扱説明書」を確認して、推奨されているオイルと同クラスのものを選べば間違いありません。
基本的に「粘度」「規格」は記載があるはずなので、ご存知ない方は一度ご確認くださいね。
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